株を持つ人は、配当を受けます。
配当は、収入を得る方法の1つとして魅力的なものです。
世の中には、配当生活を送る人も少なくありません。
不動産売買で何十億と儲け、株式配当で儲かった人も多い。何億円とか株式を持っていると配当で十分生活できる。不動産経営は、空室やら修繕やら、手間がかかるが、株式なら確実に配当が入るからだ。
— アンドロメダ銀河のおじさん (@YOSHIKAZUW) 2019年1月5日
- 配当とは何か?
- 配当にはどんな形で税金が掛かるのか?
見ていきます。
配当とは?
配当は、株を持っている人が貰えるお金です。「株主へのお礼や還元」といった意味が込められています。
一般的には、「配当所得」という言い方がされています。
配当金
株式を発行した企業は利益を上げると株主にそれを分配する。その分配された利益のことを指す。
ASCII.jpデジタル用語辞典より引用
株をたくさん持つほど配当所得が大きくなる
配当所得は、「1株あたり10円」などと表記されます。
これはつまり、「1株持っていたら10円もらえますよ」という意味です。
100株だと1,000円、1,000株だと10,000円もらえます。
たくさん持てば持つほど、多くの配当を受け取れます。
備考 ちなみに現在の日本の平均的な配当は、2%前後です。 |
配当所得の課税方法
配当所得の課税方法は、以下の3種類です。
配当所得の課税方法
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納税方法は申告納税が基本
日本の税制の原則は申告納税です。
配当所得に対しても例外ではありません。通例通り、確定申告が原則です。
なので、配当を受ける人はみんな確定申告を行うのが原則です。
しかし、世の中には株取引を行なっている人がたくさんいるのが現状です。
税務署側からすれば、「確定申告する人が多すぎたら処理できないよ」というのが実情です。
なので、対象者全員に確定申告を求めることは、現実的ではありません。
そのために源泉徴収制度が適用されている
申告対象者全員に確定申告を求めるのは現実的ではありません。
そのため、源泉徴収制度が採用されています。
国は、上場株式等が配当金を支払う場合、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)を源泉徴収します。
受け取る側からすれば、「配当受け取り時」に税引きされた金額を受け取ります。
配当所得に対する源泉徴収の割合
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「確定申告しない」という選択も可能!
源泉徴収制度が採用されていることで、「確定申告をしない」という選択も可能です。
確定申告がない場合は、「申告不要制度」を選択したことになります。これにより、税の徴収漏れを防ぎます。
つまり、何もアクションを起こさなければ、源泉徴収で納税が完結されます。
次より、3つの申告方法の特徴を見ていきます。
1.総合課税
総合課税は、(給与所得などの)各種所得と配当所とを合算した上で、税額を算出する形のものです。
所得税は過累進税です。そのため、所得に応じて税率は段階的に上がっていきます。
所得が低い場合は、総合課税を選択すると少ない税率で済みます。
また、総合課税を選択すると、配当控除を受けられるというメリットがあります。
2.申告分離課税
申告分離課税は、「確定申告は行うけど、各種所得とは合算しない」という方式です。
この場合、「所得税15.315%、住民税5%」の一定税率になります。
この税率は、申告不要制度(源泉徴収)と変わりません。
しかし、株式の譲渡損失と損益通算できるというメリットがあります。
つまり、「株式の譲渡損失 > 受け取った配当額」の場合、税金は掛かりません。
他にも、その年の確定申告で、「申告分離課税対象の所得のマイナス分」を控除し切れない場合、マイナス分を3年間繰り越すことができます。
したがって、株式で多額の損が発生しているような場合には、この課税方式が最適です。
3.申告不要制度(源泉徴収)
配当金は、支払いの段階で源泉徴収されます。
そのため、申告は不要です。
- 手続きが不要→手間とコストが掛からない
- 他の所得と分離されている→所得税の税率に影響を与えない
というのがメリットです。
ほとんどの人は知らず知らずのうちにこれを選択しています。
どの申告方法を選ぶのが得か?
配当所得に対する最適な申告方法をみていきます。
基本的には源泉徴収されます。
そのため、源泉徴収される税率より、得する申告方法を選択する形です。
源泉徴収される税率を振り返ります。
源泉徴収される税率
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上記の税率よりお得な申告方法を選択しましょう。
総合課税を選んだ方が良いケース
国税の税率は、「課税所得が195万円以下だと5%」、「195万円を超え330万円以下だと10%」です。
そのため、この水準の課税所得の人は、「総合課税」を選択するとお得です。
申告分離課税を選んだ方が良いケース
株式等で多額の譲渡損失が生じ、「損失 > 配当金」となる場合は、損益通算により非課税です。
そのため、国税・地方税ともに「申告分離課税」を選択するのが良いです。
また、課税所得が900万円を超えると国税の税率は33%以上になります。
そのため、このタイプの人は、「申告分離課税」か「申告不要制度」を選択したほうが有利です。
ややこしいのは課税所得が330万円を超え900万円以下の人
このタイプの人は、話がちょっとややこしいです。
総合課税では配当控除が認められます。
それを頭に入れて考えましょう。
課税所得が1000万円以下の場合、所得税の配当控除は、配当所得の10%です。
なので、695万円を超え900万円以下の場合、
(23%−10%)+(23%−10%)×2.1% (復興特別税)=13.273%となります。
結果、「総合課税」がお得です。
総合課税&申告課税を選んだ方が良いケース
総合課税を選んだ場合、住民税は一律10%です。
先ほどの「ややこしいのは課税所得が330万円を超え900万円以下の人」と照らし合わせて考えると、「総合課税×申告課税」を組み合わせて考えた方が良い人がいます。
それは、900万円超えの高額所得者でなく、かつ、株式で損失が生じていない場合です。
その方は、
- 国税→総合課税
- 地方税→申告不要制度
を利用しましょう。
なお、これらを選択するには、国と地方別々に確定申告が必要です。
少し手間は掛かりますが、配当金を多く受け取るために頭にいれておきたい知識です。
最後に
配当とは何か?配当課税に対し、どのような申告方法を選ぶのが最適か?をまとめました。
自分に最適な申告方法を選び、自分の収入を増やす方法を考えていきましょう。