世界は今、法人税下げブームです。
特にヨーロッパ諸国はグイグイ行っています。
ドイツやイギリスは2006~2014年までの間に、約10%も法人税が下がりました。
イギリスは法人税下げと。
— Charlié (@Hirosuke) 2012年3月21日
これに則り、日本の法人税も下がっていっています。
2011年には39.54%だった法人実効税率は、2018年には29.74%になりました。(まだ下がる予定とのことです)
法人税を下げることによる影響は諸説考えられます。
が、各国が法人税下げに踏み切った最たる理由は「国際競争力を高めるため」でした。
- 国際影響力とはいったい何か?
- 国際競争力を高めることでメリットはあるのか?
見ていきます。
国際影響力とは
「国際競争力」という言葉には、たくさんの意味があります。
なので、この言葉の意味については、今でも議論されているのを見かけます。
ネットで意味を検索すると、「国際的な経済取引においての、取引の優位性を示すものだ!」と出てきます。
国際経済取引における競争力の強さのこと。自由貿易のもとでは国際競争力が強いほど当該国の輸出は増加する
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用
要は、「国際競争力が高いと、取引を優位に進められます」という意味です。
取引に優位になるのは嬉しい話です。
ということで、国際競争力の高まりはどこの国も望んでいます。
法人税を下げることで国際競争力が高まると考えられている
「国際競争力を高めたい!そうだ!法人税を下げよう!」これが、ここ最近ヨーロッパで主流の考え方です。
この考えは、当てはまる国もあれば当てはまらない国もあります。
イギリスやドイツではこの考えは正しいと採用されました。
法人税を下げれば国際競争力が高まる理由は、下記です。
法人税を下げることで国際競争力が高まる理由
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国はたくさんの企業に来て欲しい
上で見た通り、国はできるだけたくさんの企業に来て欲しいと思っています。
なぜなら、「企業を誘致することで、国内の経済が活性化され、結果的に税収が増加する」と考えられているからです。
税収が増えるのはどの国にとっても嬉しいことです。
企業を誘致することで税収が増えます。
企業を誘致することで税収が増える理由
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海外から企業が来ることで、国内での設備投資や雇用が拡大→経済活性化→税収UP!という図式が描かれています。
法人税を下げることによるデメリットもある
法人税下げには、デメリットももちろん存在します。
それは、「短期的に税収が減るので、その間の財源をどうするのか?」という話です。
法人税減税により国内経済が活性化するまで、時間が必要です。
「その間の資金をどのように調達するのか?」考える必要があります。
日本でも法人税下げ分の資金調達について、色々と議論がなされています。
法人税減税で国際競争力が高まるのかが正直言って疑問
法人税減税によるメリットやデメリットを話してきましたが、正直言って、その理論が正しいのかは謎です。
例えば、企業は、法人税が下がることで、(無駄な)支出を減らせます。
それは確かに嬉しいことです。
しかし、ただの節約だけで企業は本当に動くのでしょうか?
企業は実は、「生産したものをその国で消費できるかどうか?」ということも気にしています。
法人税だけでなく、様々な条件を考慮して行動を決定していくのが企業です。
法人税減税で国際競争力が高まるのか、ハッキリ言って疑問です。
法人税引き下げ競争の口火を切ったのは英国、日本もこの競争に参加。今ではイギリスの30%よりさらに下の25,5%まで下げた。法人税引き下げの口実とされたのが、法人税率が高いと国際競争が不利になるという、国際競争力論。各国とも税収の空洞化で巨額な財政赤字に苦しむことに。
— 藤田 正五 (@syohgof1950) 2013年7月28日
そもそも国際競争力という言葉の意味自体がふわっとしすぎ!
国際競争力ランキングというものがあり、毎年注目を集めています。
その国際競争力ランキングは「IMD(経営開発国際研究所)」と「世界経済フォーラム」のものが有名です。
が、毎年毎年、ランキング内容に差があります。
例えば、2018年の場合、
- IMD:1位ー米国、2位ー香港、3位ーシンガポール、日本ー25位
- 世界経済フォーラム:1位ー米国、2位ーシンガポール、3位ードイツ、日本ー5位
となっています。
これは、どっちが「正しい・間違っている」という話ではありません。
それぞれ計算方法が全然違います。
「国際競争力」という言葉は、解釈が多用です。
ふわっとした定義のもと、「国際競争力は高い方が良いぜ~」という理論が出来上がっています。
トンデモ理論です。
国際競争力という言葉は都合良く利用されているだけでは?
現代は、国際競争力の名の下に、法人税下げがブームになっています。
1990年代前半、アメリカのクリントン政権でも、同じような話がありました。
当時も、国際競争力の名の下に、半導体や自動車など、産業政策が打ち出されました。
これに対して、ポール・クルーグマンという経済学者が、「競争力という危険な妄想」(Foreign Affairs, 1994)という有名な論文を書いています。
この論文では、「補助金の無駄づかいだ」「 無用な貿易摩擦を引き起こす」「産業をミスリードする」と、当時の政策が批判されています。
国際競争力という言葉自体が、都合良く利用されているという解釈もできてしまいます。
「菅首相法人税5%減、先進国で最高水準とされる法人税率を下げて、国際競争力を」って、3%や5%減では国際競争力なんてつかない。ドイツ29.8%、イギリス28.0%、中国25.0%、韓国24.2%。海外進出企業に歯止めがかからない。
— 須藤桂一 マンション管理組合コンサル (@arukudake_diet) 2010年12月8日
戦略的にはコア・コンピタンスが、戦術的にはタックス・プランニングが重要!
世界は今、混沌としています。
日本は少子高齢化が現状で、2030年問題も迫っています。
そんな中、政府はいくつかの指標(未来予想図)を出しています。
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例えば2030年タスクフォース報告書
内閣府『2030 年展望と改革タスクフォース報告書』より
が、どの資料を見ても、所詮は国目線です。
一般人が見ても、「なるほど、国はこういう風に捉えているんだ。で、オレの会社はどうしよう」で話が終わります。
そういう意味では、「自分の身の回りの未来は自分で築いていこう!」という責任が、必要なのではないでしょうか?
それは、コア・コンピタンスという考えに通じます。
ただ、コア・コンピタンスはあくまでも長期的な目線(戦略)です。
短期的な見方(戦術)としては、タックス・プランニングが現代経営の旬です。
タックス・プラニンニングにより納税計画を立て、経営効率を良くしていきましょうという話です。
コア・コンピタンスとタックス・プラニンニング、これら2点についてまとめます。
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コア・コンピタンスとは
コア・コンピタンスとは、「自分の核になる技術や特徴」を示した言葉です。
一般的には、「競合他社に真似できない程の圧倒的な能力」などと訳されます。
コア・コンピタンス (Core competence)とは、ある企業の活動分野において「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」の事を指す。
Wikipediaより
最近では、「しっかりとした芯となる考えを持ち、自分で未来を想像する力」という捉え方もされています。
自分のメガネでしっかりと物事を認識し、それぞれが責任を持って未来を想像していくことが、今求められています。
タックス・プランニングとは
タックス・プラニンニングとは世界の税の仕組みや計算方法などを研究し、節税を行なっていくことです。
税の仕組みや特徴、計算方法など専門的な観点から合法的に節税対策等の計画を立てることで、節税(税務上のコストの低減)だけでなく、税務上のリスク低減または排除も重要な目的である。
投資用語集より引用
節税も立派な経営です。
世界の大企業はすでに節税を行なっています。アップルなんか創業時から節税のことを考えていました。
税制も毎年のように変わる現代では、タックス・プランニングはかなり貴重な存在です。
世界の税金をしっかり学び、大切な会社や従業員、その家族を守っていきましょう!
最後に
国際競争力とは何か?を解説しました。
国際競争力は、ハッキリ言ってあやふやな言葉です。
ですが、この言葉を武器に、各国が法人税を下げていっているのが現代のトレンドです。
国際競争力という言葉に目を向けることで、新たな情報に出会えることもまだ事実です。